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ブーズ・アンド・カンパニー ヘルスケア・プラクティス 未来への論点シリーズ Vol.20 製薬メーカーにとっての今後の流通体制 その(4) ~製薬メーカーはどう対処すべきか~ 前述したように製薬メーカーにとっての課題は、①薬価のコントロール、②MSを中心とした卸の付加価値、③より持続的な流通体制の確保の三つである。それに対して製薬メーカーとしては、以下のような方向性が考えられる。
①薬価のコントロールをするために何ができるか 一つには取引卸を一社に限定して、少なくとも同一製品が価格競争されにくくするというものである。それによって卸の納入価も上昇して利益率が向上、MSなどのコミットメントを引き出す。同時に、実質仕切り価を卸間で競争させて引き下げる。それにより価格競争が薄まり、卸と製薬メーカーにとってWin-Winの関係が築ける。 卸を一社に絞り込む際の課題は、大手卸といっても地域別のカバー率の強弱、MSの強弱などがあり、一社に絞り込むのは売上減少リスクがある、または医療機関などが卸間の価格比較をするときに単品ではなく、製品群としてその使用量と価格の加重平均で決めるために、一社でしか扱っていない製品を医療機関などがどのように扱ってくれるのかわからない、場合によっては取引から外されるのではないかという不安もある。 この状況を成り立たせるには、製薬メーカーの製品ポートフォリオが比較的新薬、その製品しかないと医療機関に思ってもらえるかどうかにかかってくる。製品名指定であれば価格競争力が上がるし、医療機関側の扱いも個別に対応してくれる可能性がある。卸も積極的に販売してくれる可能性が高まる。会社として一つの卸とのみ付き合うという方法から、製品単位で付き合う卸を決めるというやり方まで幅が存在する。 直販による価格コントロールも一つの方法であるが、現実問題として各医療機関や薬局の一つ一つと納入価を交渉するのは労力的にも難しく、MRと絡んでより価格決めが不透明になり、問題となる恐れがある。また、病院側が製薬メーカーに価格主導権を取られるのを嫌い、かつ各製薬メーカーとの価格交渉は面倒と感じるだろう。 現在の卸同士で価格競争をさせ、卸一社と付き合うほうが、はるかに病院・薬局にとっての手間は少ない。流改懇の課題と合わせて政府で固定マージン性を敷いてもらって一律取引し、卸には配送料をマージンもしくは配送費用という形で支払うことにすると、実現の可能性が高まるのであろうか。 この場合、薬価改定の仕方が大きく変わる可能性があり、場合によっては上市後X年後にY%下落などの固定性になるかもしれない。これが製薬メーカーにとって得なのかどうかはわからないが、薬価の将来の不確定性がなくなるという意味では大きなプラスなのかもしれない。 いずれにしろ薬価制度などとまとめて議論しないと進展は難しい。 または卸から、今のマージンレベルでは立ちいかないので直販にして価格交渉はメーカーと病院・薬局で直接やってくださいということになれば、実現するかもしれない。このようなことが全国的に起こる可能性もあるし、一部病院に限ってはこのようにしてください、ということもあり得る。日本の小売の世界ではメーカーは大手チェーンに対して価格交渉を小売と直接行い、中小・零細に対しては卸に任せているのと似ている。 変革の実現のためには、製薬メーカー側の交渉体制・能力構築と、卸に自らが直販を勧める環境が必要になる。始めるとすると、少数の製品で少数の病院からということになるだろうか。 ②MSを中心とした卸の付加価値をどう判断するか 製薬メーカーで自社にとってMSは不要、付加価値が低いと考えるのであれば、卸にMS不要だからといって実質仕切り価を上げさせてもらう、または直販体制にしてフィー・フォー・サービスの体制を築くのか、どちらかになる。 利益率が落ちている中、MSは固定であるので、仕切り価を上げてもらうことはできるのか。こちらも製品力が強く、卸を一社に絞り込むなどのことができれば、実現可能かもしれない。直販体制の課題と実現性は前述のとおりである。これであれば卸に対して委託料という形になるので、フィー・フォー・サービスの土台ができる。また、卸が対応してくれない場合はその他物流会社を活用することも可能だが、直販の難しさは前述の通りである。 ③より持続的な流通体制の確保をどうすべきか こちらについては製薬メーカーなどが各々心配しても仕方がない部分でもある。短期的に卸が事業を辞めるようなことはないだろうし、問題が拡大すれば政府の介入もあり得る。全国に発達した宅配便網も存在するので、いざというときの対応は可能だと思われる。 以上のように製薬メーカーができることを見てみると、並行輸入や偽薬問題が存在しない日本でどこまで流通体制をそれぞれのプレーヤーがリスクをとって変革すべきかどうかは今後の検討課題であろう。その検討を進めている間に、卸はさらなるMSの削減などを進めて、それに限界が見えてきた段階でもう一段の再編を起こす。それにより価格競争は一旦緩和され、流通体制の持続性は一旦確保される。その後、MSの付加価値や薬価コントロールをするために新たな直販やフィー・フォー・サービス的な動きが発生するのではと予測する。 特に製品名を指定してもらえる新薬をもっているメーカーにとっては、今後取引卸を一社に絞り込む、直販体制またはそれに近い状況に持っていける可能性は高い。新薬だけではなく、e-detailingやウェッブ経由の情報提供、患者会からの医療機関へのプッシュなどにより、必ずしもMSなどの人的な営業に頼らなくてもよい環境も整い始めている。自社の製品ポートフォリオを見ながら、または製品ポートフォリオ群によって流通体制を変えていく必要があるのかもしれない。 お届け先・メールアドレス変更・配信停止・宛先追加の場合はjapan.healthcare@booz.comまでご連絡ください。 ※なお、お問い合わせの時期によって変更・配信停止の手続きが遅れる場合がございます。あらかじめご了承ください。 ご質問等ございましたら、japan.healthcare@booz.comまでご連絡いただけますよう、お願い申し上げます。
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