Home  |  出版  |  ヘルスケア 未来への論点 2
Booz & Company


ブーズ・アンド・カンパニー  ヘルスケア・プラクティス 未来への論点シリーズ Vol.2
2010年6月


製薬企業における購買力強化への組織的対応
 
 現在、製薬業界においても直接材、間接材含めて購買力強化によるコスト削減を真剣に進める企業が増えてきている。

 この背景には、いうまでも無く政府財政問題の深刻化に伴う医療費抑制、2010 年問題、新薬開発の難易度向上とコスト増大、という事業環境の厳しい変化がある。これらはいずれも構造的かつ長期的にも継続する見込みが高いものであることを踏まえれば、コスト削減についても、短期的な成果を目指す活動ではなく、将来リバウンドしない、長期的な取り組みとすることが必須である。また、成長を遂げる新興国市場での事業展開を目指すうえでも、コスト構造の抜本変革は避けて通れない経営課題であろう。

 ブーズ・アンド・カンパニーのグローバル・ライフサイエンス・プラクティスの調べによれば、米国や欧州の主要製薬メーカーの多くは、ここ数年本格的なコスト削減活動に取り組んできた。多くの欧米主要製薬企業では、Chief Procurement Officer(CPO)というポジションを設置し、購買力強化とコスト削減に取り組み、成果を挙げている。
 欧米企業の多くでは、CPOというポジションはCEO/CFO/COOといった経営トップ層へのレポーティングとなっており、その対象範囲はグローバルに直接材の購買を行うものが過半を占める。このようなCPOの位置づけには、購買活動の重要性に対する認識が反映されている、と言える。
 また購買コスト削減は、ややもすればボトムアップ型に組み立てられがちだが、目指す効果を生み出すためにはトップダウンの強いリーダーシップが求められ、それがCPOというポジションが必要な所以でもある。

 調達コスト削減について議論すると、「最近はかなり厳しくサプライヤーを叩いていますよ…」とか「ウチも不要不急の支出はかなり絞り込んでいますから…」という反応を頂くことが非常に多い。しかし我々の経験では、まさにそのような対応こそ、短期的には成果が挙がるが、中期的にはリバウンドする高いリスクがあると考えている。
 CPOに期待される役割は、このような単なる短期的なコスト削減にとどまらず、長期・構造的にコストを引き下げる体質に変えていく、すなわち組織全体の購買能力の強化、に他ならない。
 そのためには、適切な購買組織設計、購買プロセスとポリシー設定、成果管理、インフラとしてのIT、などの要素をそろえることが必要となる。これがまさにCPOが担うべき最初の重要な責務、ということがいえるだろう。
 わが国で活動する製薬企業においても、このような高い目線で、購買コストへの取り組みを行うべき時期に来ているのではないか。



お届け先・メールアドレス変更・配信停止・宛先追加の場合はjapan.healthcare@booz.comまでご連絡ください。
※なお、お問い合わせの時期によって変更・配信停止の手続きが遅れる場合がございます。あらかじめご了承ください。
ご質問等ございましたら、japan.healthcare@booz.comまでご連絡いただけますよう、お願い申し上げます。