
背景
ルノーとの提携によって就任したカルロス・ゴーン氏らのチームは1999年10月に「日産リバイバル・プラン」を発表しました。このプランを実行に移すに当たって、いくつかのテーマに関しては外部のコンサルタントの支援が必要であると考えられ、特に重要なテーマであったグローバル組織構造の改革にブーズ・アンド・カンパニーが起用されました。
このプロジェクトのスコープは、マルチ・リージョナルであった同社の組織を、責任・権限のはっきりしたグローバルな組織に移行させることと、この組織の主要要素(世界本社の機能、地域ごとの事業への権限委譲、各機能組織のグローバルな責任、車両開発の長期的な収益性責任)を規定することでした。
活動内容
特に世界本社に関しては、そのミッションは何かを定義することが必要でした。日本企業の多くは「輸出部」が拡大して「国際本部」になるという歴史を経ており、「日本本社」という地域別事業としての責任がメインのまま、片手間的に「全社の本社」という役割を果たすことになりがちです。売上の過半を海外で稼いでいる大手自動車会社が、そのような状態で海外と情報をやり取りしていたのは大きな問題でした。そこで、グローバルな戦略策定と目標設定、ブランド・アイデンティティ、資本政策、能力開発、内部統制、などを世界本社のミッションと定め、それ以外の役割については、地域ごとの事業、および各機能組織に委譲するという定義が行なわれました。
ブーズ・アンド・カンパニーは、プロジェクトを行うに当たり、グローバルな自動車プラクティス・チームの力を最大限に活用しました。欧米において自動車業界に精通しているシニア・スタッフが長期間日本に駐在し、東京オフィスに在籍する日本人および欧米人コンサルタントとの共同チームを編成し、日産のCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)と共同で長期にわたるプロジェクトを運営しました。
成果
「この新たな組織モデルの目的の一つは、グローバルな業績改善に関して質の高い意思決定を迅速に行なうことにあります。この組織では、各々のテーマに関して複数の立場の人々が異なる視点から、いい意味でのテンションをもたらすでしょう。このことが意思決定の質を高め、最終的には業績を高めるのです」と、カルロス・ゴーン氏は語っていました。
その後の日産の業績回復ぶりは目覚しく、ゴーン氏の表現によると「集中治療室から一般病室に移る」ことができました。日産の改革は、彼一人で成し遂げたものではなく、彼のリーダーシップの下で、改革の熱意を組織の内部にまで深く浸透させたマネジメント・メンバーや、CFTなどのプロジェクト・メンバー、ライン組織の要職メンバーなど、多くの人の力によるものと言えます。
(このプロジェクトは、2001年のブーズ・アンド・カンパニーのProfessional Excellence Awardに選ばれ、日産自動車より公表の許可をいただきました。上記の説明は、Professional Excellence Awardの公表資料の抄訳です。)