プロジェクトの背景 今、日本各地の山村で人口減少集落が急増しています。そのような集落では、産業の衰退、高齢化の進展による若年層の減少、山林・農地の荒廃など様々な社会問題が表面化する一方、汎用的且つ有効な打ち手がないため、集落そのものの崩壊が現実のものとなっています。この状況を打破するためには、問題の根本にある定住人口の減少に歯止めをかける必要があります。また、課題解決にあたっては、政策面・資金面・実行面いずれも行政に依存することが困難になりつつあり、地域住民自らが主体的に課題解決にあたる必要があります。 そこで、ブーズ・アンド・カンパニーでは、地域が自活して定住人口の増加を実現するための汎用的な解決アプローチを策定し、これを実際のフィールドにおける課題解決に活用し効果を検証した上で、全国的な山村地域再生に向けた提言を行うことを企図しました。具体的なフィールドには、本取組に賛同を頂いた岐阜県郡上市白鳥町の山村集落・石徹白(いとしろ)が選定され、山村地域再生プロジェクトがスタートしたのです。
活動内容 ブーズ・アンド・カンパニーは、山村地域において定住人口増加を実現する解決アプローチを構築するため、全国の先進的な地域事例調査を中心に、『地域再生に向けた打ち手』と『変革の方法論』の両面において成功の鍵を分析しました。その結果、定住人口の増加には、①定住希望者の確保、②雇用の確保、③インフラ整備の実現が必要であり、「地域ビジネスが地域ファンを作り、地域ファンが地域ビジネスを支える」という好循環を作る“地域自活型ビジネス”の創出が山村地域再生のKSFと考えました。さらに、集落単位での地域自活型ビジネスの取組は、「住民全員が、楽しく、自分たちにできる形で」実行していく必要があることが見えてきました。ただ、チームが得た最大の示唆は、地域が実際に動き出すための第一歩が、“何でもよいから”「住民全員が、楽しく、自分たちにできる形で」活動した成功体験を生み出し、地域の実行力を育成することから着手するということでした。
これらの解決アプローチを踏まえつつ、岐阜県郡上市の山村集落・石徹白で集落再生の実行支援に入りました。石徹白は、白山信仰で栄えた山間地域にあり、かつて1300人だった人口が現在300人弱まで減少した集落です。多くの地域で散見されるように、石徹白にもこれまで県や市から支援チームが入っていましたが、人口減少は止まりませんでした。ブーズ・アンド・カンパニーは、地域事例調査から得た解決アプローチを展開して石徹白再生ロードマップを策定しましたが、最も重要なのは地域が実際に動き出す第一歩を推し進めることでした。そこで、地域住民が主体的にやりたいと思っているテーマを拾い上げるべく徹底的に現場に入り込んだところ、主婦の方々の中に農村カフェレストランを立ち上げたいという想いがあることをキャッチしたのです。幾度にわたる茶話会を経て、農村カフェレストラン設立に向けた有志グループの結成に至り、具体的活動の立ち上げ支援を実現しました。 劇的なスピード感で農村カフェレストランの試験運用が開始され、4ヶ月間にわたって月数回の一日カフェを試行したところ、予想を上回る大盛況となりました。有志メンバーも「住民全員が、楽しく、自分たちにできる形で」進めることを活動理念に据えた結果、集落内では「ここに来ると友達に会える」「友達と誘い合って来た」と大変喜ばれる現象が起こり、ほぼ毎回午前中は満席となりました。さらに、ツーリズムと連携することで外部からの団体予約も入るなど、農村カフェレストランを基点としたシナジー効果が次々と現れ始めたのです。まさに、「地域ビジネスが地域ファンを作り、地域ファンが地域ビジネスを支える」という好循環を生み出すエントリーポイントになりつつあります。ここから次々と活動が派生して展開され、地域自活型ビジネスが回り始めることが定住人口増加へのシナリオです。もちろん、まだ序幕ではあるものの、既に外部からの移住者が出てきており、山村地域再生の光が見え始めています。
(備考) 協力:石徹白地区地域づくり協議会 参考URL:石徹白区公式ホームページ プロジェクト・メンバー:高松越百、佐藤龍太郎、谷中修吾、伊藤勤、田中大貴、平野彰秀さん(石徹白地区地域づくり協議会)
ブーズ・アンド・カンパニーについて